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16歳未満性的目的面会要求の告訴状|刑法182条・面会前段階処罰

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子どもがSNSで見知らぬ相手とやり取りをするうち、「誰にも言わないから会おう」「会ってくれたらゲーム課金してあげる」「断るなら今までのやり取りを学校にばらす」といったメッセージを繰り返し送りつけられる——。こうした被害は、これまで実際にわいせつ行為や性交等が行われるまでは刑法上の処罰が難しく、都道府県の青少年健全育成条例や児童福祉法の適用可否を個別に検討するほかありませんでした。この「面会に至る前の段階」に正面から刑罰を科したのが、令和5年の刑法改正で新設された刑法第182条(十六歳未満の者に対する面会要求等)です。

本記事では、刑法182条の条文構造を1項・2項・3項に分けて確認したうえで、構成要件の読み方、他の性犯罪規定や児童ポルノ禁止法・性的姿態等撮影処罰法・青少年健全育成条例との関係、公訴時効や親告罪の有無といった手続面の論点、そして被害者側が警察署長(司法警察員)宛ての告訴状を準備する際に何を整理すべきかを、実務目線で解説します。特に、182条は公訴時効が3年と短く、性犯罪の時効延長規定の対象に入っていないという点が見落とされがちで、初動の遅れがそのまま立件断念につながりかねません。

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刑法182条「十六歳未満の者に対する面会要求等」とは何か

刑法182条は、令和5年6月23日公布の「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」(令和5年法律第66号)によって新設され、令和5年7月13日から施行されています。同じ改正で、従来の強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪は「不同意わいせつ罪」(刑法176条)に、強制性交等罪・準強制性交等罪は「不同意性交等罪」(刑法177条)に再編され、性交同意年齢が13歳未満から16歳未満へ引き上げられました。182条はこの一連の改正の一部を構成する規定です。

なお、改正前の刑法182条は「淫行勧誘」の規定でしたが、この規定は同じ改正により条文の位置が繰り下がり、現在は刑法183条に置かれています。古い書籍や解説サイトで「刑法182条=淫行勧誘罪」と説明されているものがありますが、これは改正前の条文番号です。現行法の182条は面会要求等の罪ですので、条文を引用する際は注意が必要です。

なぜ「面会前段階」を処罰するのか

法務省が公表している性犯罪関係の法改正に関する説明では、16歳未満の者は性的行為に関する自由な意思決定の前提となる能力に欠けるため性犯罪の被害に遭う危険性が高く、実際の性犯罪に至る前の段階であっても、性被害に遭う危険性のない保護された状態を侵害する危険を生じさせる行為、またはこれを現に侵害する行為を処罰することとした、という趣旨が示されています。

SNSやオンラインゲームを通じて加害者が子どもに接近し、時間をかけて信頼関係を築いたうえで性的接触に至るという被害の型は「グルーミング」と呼ばれます。この過程は、個々の言動だけを切り出せば「話しかけただけ」「プレゼントを贈っただけ」に見えるため、従来の犯罪類型では捕捉しにくいという問題がありました。182条は、その過程のうち一定の不当な手段を用いた面会要求と、性的な姿態の映像送信要求を独立の犯罪として類型化したものと理解できます。

条文の3層構造を押さえる

刑法182条は3つの項からなり、それぞれ別個の犯罪類型を定めています。実務では、どの項の適用を求めるのかを明確にしないまま「グルーミング被害です」と申告しても、捜査機関の側で構成要件へのあてはめが進みません。まず全体像を整理します。

  • 第1項(面会要求罪):わいせつの目的で、16歳未満の者に対し、1号から3号の手段により面会を要求する行為。法定刑は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
  • 第2項(面会罪):1項の罪を犯し、よってわいせつの目的で当該16歳未満の者と面会をした行為。法定刑は2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
  • 第3項(映像送信要求罪):16歳未満の者に対し、性的な姿態をとってその映像を送信することを要求する行為。法定刑は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

1項と2項は、要求段階(1項)と、その結果として現実に面会した段階(2項)という段階的な関係にあります。これに対して3項は、いわゆる「自画撮り」の要求を対象とする独立した類型で、面会とは無関係に成立します。3項の要求に応じて子どもが映像を送信したとしても、182条の中に3項の加重類型は置かれていません(この場合は後述する児童ポルノ禁止法等の適用が別途問題となります)。

刑法182条1項・2項の構成要件

1項(面会要求罪)の条文

1項の条文は次のとおりです。「わいせつの目的で、十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」

「わいせつの目的」という主観的要件

1項は目的犯です。単に面会を求めただけでは足りず、行為者が「わいせつの目的」を有していたことが必要になります。ここでいうわいせつの目的とは、面会の先にわいせつな行為に及ぶ意図を指すものと理解されますが、目的は行為者の内心の問題ですから、直接証拠が得られることはまれです。

実務上は、やり取りの内容そのものが目的認定の中心的な資料になります。会話の中で性的な話題を持ち出していたか、写真の送信を求めていたか、面会場所としてホテルや人目のつかない場所を指定していたか、面会の事実を保護者や学校に秘匿するよう求めていたか——こうした周辺事情の積み重ねが目的の推認材料となります。被害申告の準備段階では、性的な発言だけを抜き出すのではなく、会話全体を時系列で保全することが重要です。

被害者は「16歳未満」、13歳以上の場合は生年月日で5年以上の差が必要

1項の客体は16歳未満の者です。ただし括弧書きにより、被害者が13歳以上16歳未満である場合には、行為者が「その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者」に限るという年齢差要件が付されています。平たく言えば、13歳・14歳・15歳の子どもが被害者である場合、行為者がその子どもの生まれた日より5年以上前の日に生まれた者でなければ本罪は成立しません。

この年齢差要件は、13歳以上16歳未満の年齢層においては、対等な関係にある同年代同士のやり取りまで一律に処罰対象とすることは相当でない一方、一定以上年長の者との関係では対等性が期待できない、という考え方に基づくものと説明されています。被害者が13歳未満の場合には年齢差要件はなく、行為者の年齢を問わず成立し得ます。

注意すべきは、この要件が「5歳以上年上」ではなく「その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者」という生年月日ベースの規定になっている点です。学年差や満年齢の差ではなく、生年月日を基準に判定されます。告訴状を準備する際には、双方の生年月日を可能な限り特定し、5年以上の差があることを明示できるようにしておく必要があります。

1号 威迫し、偽計を用い、または誘惑して面会を要求すること

1号は「威迫し、偽計を用い又は誘惑して面会を要求すること」を掲げます。3つの手段が並べられており、いずれか1つに該当すれば足ります。

威迫は、相手に不安や困惑の念を生じさせる言動を広く指す概念です。刑法上の「脅迫」が生命・身体・自由・名誉・財産に対する加害の告知を要するのに対し、威迫はそれより広い概念として用いられます。「会わないと今までのやり取りを全部ネットに晒す」「学校に言いつける」といった言動のほか、明示的な害悪の告知に至らなくても、執拗に不安をあおる言動が該当し得ます。

偽計は、人を欺き、または人の錯誤や不知を利用する手段を指します。年齢や性別を偽って接近する、芸能事務所のスカウトや撮影モデルの募集を装う、同年代の友人になりすます、といった行為が典型です。SNS上のプロフィールを虚偽の内容にしていた場合、その画面自体が偽計の裏づけ資料になります。

誘惑は、甘言を用いて相手の判断を惑わせる手段です。1号の誘惑は3号の「利益の供与」とは別に規定されていますから、金銭その他の利益の提供を伴わない甘言(「君だけ特別」「相談に乗ってあげる」といった働きかけ)もここに含まれ得ます。

2号 拒まれたにもかかわらず、反復して面会を要求すること

2号は「拒まれたにもかかわらず、反復して面会を要求すること」です。1号と異なり、威迫・偽計・誘惑といった不当な手段を用いていなくても、拒絶後の反復要求という態様そのものが処罰の根拠となります。

ここで立証上の要点となるのが「拒まれた」という事実です。被害者側が明確に断った事実が記録として残っているかどうかが分かれ目になります。「行けない」「もう連絡しないで」「会いたくない」といった返信が残っていれば有力ですが、既読のまま返信しない、話題を変えるといった消極的な対応しかしていない場合には、拒絶の事実をどう構成するかが課題になります。会話の流れ全体を保全し、拒絶と評価できるやり取りを特定できるようにしておくことが重要です。

「反復して」については、条文上、何回以上という数値基準は置かれていません。拒絶の後にさらに要求が繰り返された経緯を、日時とともに一覧化して示せる状態にしておくことが実務的な備えになります。

3号 金銭その他の利益を供与し、またはその申込みもしくは約束をして面会を要求すること

3号は「金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を要求すること」です。重要なのは、実際に金銭等を渡していなくても、「申込み」または「約束」の段階で成立し得る点です。「会ってくれたら1万円あげる」というメッセージを送った時点で、利益供与の申込みをして面会を要求したと評価される余地があります。

「金銭その他の利益」は現金に限られません。電子マネーやギフトコードの送付、ゲーム内通貨やアイテムの譲渡、投げ銭、飲食や遊興のもてなし、物品の購入といった財産的利益のほか、財産的利益に限らない有利な取り計らいも含まれ得ると考えられます。デジタルギフトのやり取りは購入履歴や送信履歴が残ることが多いため、証拠として押さえやすい類型です。

2項(面会罪)— 現実に面会した場合の加重

2項は「前項の罪を犯し、よってわいせつの目的で当該十六歳未満の者と面会をした者は、二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。」と定めます。法定刑は1項の2倍の水準に引き上げられています。

条文が「前項の罪を犯し、よって」という文言を用いている点に注意が必要です。2項は1項の罪の成立を前提としたうえで、その結果として面会が実現した場合を規定する構造になっています。つまり、1項の1号から3号のいずれの手段も用いずに面会に至った場合には、2項の適用は問題になりません。告訴状においても、まず1項のどの号に当たる要求行為があったのかを特定し、その要求と面会との結びつきを示すという順序で事実を構成することになります。

また、2項も「わいせつの目的で」面会したことを要件としています。面会したこと自体は目撃者の証言、防犯カメラ映像、交通系ICカードの利用履歴、位置情報、待ち合わせ場所を決めるやり取りなどから立証できますが、面会時点でわいせつの目的が存在したことは、やはり前後のやり取りの内容から推認する必要があります。

なお、面会の場でわいせつな行為や性交等が現に行われた場合には、より法定刑の重い刑法176条3項(16歳未満の者に対するわいせつ行為。6月以上10年以下の拘禁刑)刑法177条3項(16歳未満の者に対する性交等。5年以上の有期拘禁刑)の成否が問題となります。これらの罪と182条2項との罪数関係については、事案ごとの評価によるため、被害申告の段階で断定的に整理する必要はありません。捜査機関に対しては、起きた事実を時系列で正確に伝えることが優先されます。

刑法182条3項(映像送信要求罪)— 自画撮り要求への対応

3項は次のように定めます。「十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為(第二号に掲げる行為については、当該行為をさせることがわいせつなものであるものに限る。)を要求した者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」

1項と3項の条文構造の違い

3項を1項と読み比べると、条文上の違いが2つあります。

第一に、3項には「わいせつの目的で」という文言がありません。代わりに、2号に掲げる行為については「当該行為をさせることがわいせつなものであるものに限る」という客観的な限定が置かれています。1号(性交、肛門性交または口腔性交をする姿態)については、姿態の内容自体から限定が働く構造になっています。

第二に、3項には威迫・偽計・誘惑・反復・利益供与といった手段の限定がありません。単に「要求した者」と規定されており、要求の態様を問わない構造です。したがって、穏当な言い方であっても、駆け引きや対価の提示がなくても、16歳未満の者に対して条文所定の姿態の映像送信を要求した時点で構成要件に該当し得ることになります。

この違いは実務上小さくありません。1項の面会要求罪は1号から3号のいずれかの手段・態様に当たることを立証する必要がありますが、3項は要求の事実と対象姿態の該当性、そして年齢要件が中心的な争点になります。メッセージの文面が残っていれば、要求の事実自体は比較的立証しやすい類型といえます。

対象となる姿態の範囲

3項1号は「性交、肛門性交又は口腔性交をする姿態をとってその映像を送信すること」です。

3項2号は、1号に掲げるもののほか、膣または肛門に身体の一部(陰茎を除く)または物を挿入し、または挿入される姿態、性的な部位(性器もしくは肛門もしくはこれらの周辺部、臀部または胸部)を触り、または触られる姿態、性的な部位を露出した姿態その他の姿態をとってその映像を送信することを掲げます。2号については前述のとおり「当該行為をさせることがわいせつなものであるものに限る」という限定が付されています。

「性的な部位」の定義が条文上明記されており、性器・肛門・これらの周辺部のほか、臀部と胸部が含まれる点は押さえておくべきです。下着姿の写真を求める行為が2号に当たるかは、求められた姿態の具体的内容と、それをさせることがわいせつなものといえるかによって判断されることになります。

要求に応じて映像が送信された場合

3項は「要求した者」を処罰する規定であり、要求に応じて実際に映像が送信された場合を加重する類型は182条内に置かれていません。しかし、送信された映像が児童ポルノに該当する場合には、児童買春・児童ポルノ禁止法の適用が別途問題となります。同法7条4項は、児童に同法2条3項各号に掲げる姿態をとらせ、これを写真・電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより児童ポルノを製造した者を、同条2項と同様に処罰する(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)と定めています。要求に応じて子ども自身が撮影・送信したケースについて、この製造罪の成否が実務上の論点となります。

また、送信された画像・動画を保存して持ち続けていれば所持・保管(同法7条1項)、第三者に転送すれば提供(同条2項)、不特定または多数の者に提供しあるいは公然と陳列すれば同条6項が、それぞれ問題となります。被害申告の際には、送信後に画像がどう扱われたのか(拡散の有無、二次的な脅迫の有無)についても、把握している範囲で整理しておくことが重要です。

他の法令との関係を整理する

16歳未満の子どもに対する性的な働きかけをめぐっては、刑法182条のほかにも複数の法令が関係します。どの法令のどの条文に当たり得るのかを整理しておくことは、捜査機関に事案を説明するうえで有用です。

不同意わいせつ罪・不同意性交等罪(刑法176条・177条)

刑法176条3項は「十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)」を1項と同様に処罰し、法定刑は6月以上10年以下の拘禁刑です。刑法177条3項も同様の構造で、16歳未満の者に対する性交等を5年以上の有期拘禁刑で処罰します。182条と同じ年齢差要件が用いられている点が特徴です。

これらの罪については刑法180条により未遂も処罰されます。実際にわいせつ行為・性交等に至った、あるいはその実行に着手した事案では、182条ではなくこれらの規定の適用が問題になります。不同意性交等罪・不同意わいせつ罪については、当事務所の関連記事「不同意性交等罪の告訴・被害者支援|刑法177条・親告罪廃止・公訴時効15年を解説」および「セクシャルハラスメントの告訴状|強制わいせつ罪・不同意わいせつ罪2023年改正対応」もあわせてご覧ください。

監護者わいせつ罪・監護者性交等罪(刑法179条)

刑法179条は、18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為または性交等をした者を処罰します。加害者が親、養親、これに準ずる立場の者である場合には、この規定の適用が問題となります。182条の年齢基準(16歳未満)とは異なり、179条は18歳未満が対象である点に注意が必要です。

性的姿態等撮影処罰法(令和5年法律第67号)

刑法改正と同じ日(令和5年7月13日)に施行されたのが、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」です。同法2条1項4号は、正当な理由がないのに13歳未満の者を対象としてその性的姿態等を撮影する行為、または13歳以上16歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者がその性的姿態等を撮影する行為を、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で処罰します。同条2項により未遂も処罰されます。

ここでも刑法182条と同じ年齢差要件が採用されています。面会の場で無断撮影が行われた場合や、加害者が撮影した場合には、この撮影罪の成否が問題となります。ただし、同法5条(性的姿態等影像送信)および6条(性的姿態等影像記録)は、いずれも「不特定又は多数の者に対し」影像送信をする行為を起点とする構造になっているため、被害者が加害者個人に対して1対1で送信したケースにそのまま当てはまるわけではありません。この点は条文の読み方を誤りやすいところです。

児童買春・児童ポルノ禁止法

前述の児童ポルノ関係の規定に加え、同法4条は児童買春(18歳未満の児童本人やその周旋者・保護者等に対し、対償を供与し、またはその供与の約束をして、当該児童に対し性交等(性交・性交類似行為のほか、性器等を触るなどの行為を含む)をすること)を5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で処罰します。「会ってくれたらお金を払う」という要求が実際に性交等に至った場合には、児童買春罪の適用が問題となります。同法の年齢基準は18歳未満であり、刑法182条の16歳未満とは異なります。

児童ポルノ禁止法違反の告訴については、当事務所の関連記事「児童ポルノ禁止法違反の告訴状|撮影・所持・提供・2024年法改正対応」で類型ごとの整理を掲載しています。また、送信した画像を後から拡散すると脅されている場合には「リベンジポルノの告訴状|2014年法・刑事罰・削除請求の対応を解説」も参考になります。

児童福祉法34条1項6号(淫行をさせる行為)

児童福祉法34条1項6号は「児童に淫行をさせる行為」を禁止し、同法60条1項はこれに違反した者を10年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科で処罰します。ここでいう「児童」は18歳未満です。法定刑が重く、刑事訴訟法250条3項3号により、自己を相手方として淫行をさせる行為に係るものについては公訴時効が12年とされています。

青少年健全育成条例(自画撮り要求の規制)

都道府県の青少年健全育成条例には、青少年(18歳未満)に対する児童ポルノ等の提供を求める行為を禁止する規定が置かれている例があります。たとえば東京都青少年の健全な育成に関する条例18条の7は、青少年に拒まれたにもかかわらず当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めること、および青少年を威迫し、欺き、もしくは困惑させ、または対償を供与しもしくはその供与を約束する方法により当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めることを禁止し、違反に対して30万円以下の罰金を定めています。

刑法182条3項が16歳未満を対象とするのに対し、条例は18歳未満を対象とするものが多く、16歳・17歳の被害者については条例の適用可否が検討対象となります。条例の内容は都道府県ごとに異なりますので、被害者の居住地・行為地を管轄する自治体の条例を確認する必要があります。条例違反の告訴状の書き方の例としては、迷惑防止条例を扱った「迷惑防止条例違反の告訴状の書き方|痴漢・盗撮・つきまとい行為の告訴手続きを解説」もご覧ください。

ストーカー規制法との違い

ストーカー行為等の規制等に関する法律2条1項3号は「面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること」を「つきまとい等」の一類型としています。一見すると刑法182条1項と重なるように見えますが、決定的な違いがあります。ストーカー規制法の「つきまとい等」は、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で行われることが要件です。これに対して刑法182条1項は「わいせつの目的」を要件としており、恋愛感情や怨恨の感情を要しません。

したがって、性的な意図のみに基づく面会要求は、ストーカー規制法の「つきまとい等」には該当しないと評価される可能性がある一方、刑法182条1項には該当し得ます。逆に、恋愛感情に基づく執拗な面会要求が続いている事案では、ストーカー規制法上の警告・禁止命令といった行政的な措置を活用できる場合があります。両者は目的要件が異なるため、事案の性質に応じて申告先や求める措置を選び分けることになります。詳しくは「ストーカー被害の告訴状の書き方|規制法の罰則と証拠の集め方」をご参照ください。

略取誘拐罪との関係

面会要求が現実の連れ去りにまで発展した場合には、刑法224条(未成年者略取及び誘拐。3月以上7年以下の拘禁刑)や刑法225条(営利目的等略取及び誘拐。わいせつの目的を含む。1年以上10年以下の拘禁刑)といった、はるかに重い罪の成否が問題となります。子どもが帰宅せず所在が不明になっている場合は、告訴状の準備よりも警察への緊急の通報が優先されるべき局面です。

手続面の重要論点 — 公訴時効・親告罪・未遂・国外犯

刑法182条の事案では、実体法上の構成要件よりも手続面の制約が結論を左右することがあります。以下の4点は、被害者側が最初に確認すべき事項です。

公訴時効は3年 — 性犯罪の時効延長規定の対象外

これが本罪でもっとも重要な実務論点です。令和5年の改正では性犯罪の公訴時効が延長され、刑事訴訟法250条3項に対象罪名が列挙されました。同項の各号は次のとおりです。

  • 1号:刑法181条の罪(人を負傷させたときに限る)、刑法241条1項の罪、盗犯等防止法4条の罪(同項の罪に係る部分に限る)→ 20年
  • 2号:刑法177条もしくは179条2項の罪またはこれらの罪の未遂罪 → 15年
  • 3号:刑法176条もしくは179条1項の罪もしくはこれらの罪の未遂罪、または児童福祉法60条1項の罪(自己を相手方として淫行をさせる行為に係るものに限る)→ 12年

さらに刑事訴訟法250条4項は、「前項各号に掲げる罪」について、被害者が犯罪行為が終わった時に18歳未満である場合には、各号所定の期間に、犯罪行為が終わった時から被害者が18歳に達する日までの期間に相当する期間を加算すると定めています。

ここで確認すべきなのは、刑法182条は250条3項各号のいずれにも掲げられていないという事実です。その結果、182条の罪の公訴時効は原則規定である刑事訴訟法250条2項によることになります。182条1項および3項の法定刑の長期は1年、2項の長期は2年ですから、いずれも同項6号の「長期五年未満の拘禁刑又は罰金に当たる罪」に該当し、公訴時効は3年です。そして182条は3項各号に掲げられていないため、4項による18歳到達までの加算も適用されません

不同意わいせつ罪や不同意性交等罪では、被害者が成人してから被害を申告しても公訴時効が完成していないケースが少なくありません。しかし182条の面会要求等罪については、行為時から3年で公訴時効が完成します。子どもが被害を打ち明けられないまま時間が経過すると、それだけで立件の可能性が失われてしまう構造になっているのです。被害の疑いに気づいた時点で、できるだけ早く警察に相談することが決定的に重要である理由がここにあります。

親告罪ではない — 告訴期間6か月の制限は適用されない

刑法182条には親告罪とする規定が置かれていません。性犯罪については平成29年の刑法改正で親告罪規定が削除されており、令和5年に新設された182条にも親告罪とする規定は置かれていないため、非親告罪です。

これは実務上2つの意味を持ちます。第一に、刑事訴訟法235条本文が定める「犯人を知った日から6か月」という告訴期間の制限は、親告罪についての規定ですから、182条には適用されません。第二に、告訴がなくても捜査機関は捜査を行い、検察官は公訴を提起することができます。したがって、告訴状の提出は起訴の法的な前提条件ではありません。

もっとも、実務上は告訴状の提出により被害事実と処罰意思が書面で明確に示され、捜査機関の側でも事件処理の端緒として位置づけられるという意義があります。告訴と被害届の違いについては「告訴状と被害届の違いとは?法的効力・提出方法の違いをわかりやすく解説」、親告罪の全体像については「親告罪とは?告訴が必要な犯罪一覧と告訴期間の計算方法」で詳しく解説しています。

未遂を処罰する規定がない

刑法180条は「第百七十六条、第百七十七条及び前条の罪の未遂は、罰する。」と定めており、対象は176条・177条・179条に限られます。182条の未遂を処罰する規定は置かれていません。もっとも、182条自体が面会前段階の行為を捕捉する規定ですから、要求行為があった時点で既遂に達すると考えられ、未遂が問題となる場面は限定的です。

国民の国外犯処罰の対象ではない

刑法3条は日本国外で罪を犯した日本国民に適用される罪を列挙しています。同条5号は「第百七十六条、第百七十七条及び第百七十九条から第百八十一条まで(不同意わいせつ、不同意性交等、監護者わいせつ及び監護者性交等、未遂罪、不同意わいせつ等致死傷)並びに第百八十四条(重婚)の罪」を掲げていますが、182条は含まれていません。海外滞在中の日本国民による行為については、この点が制約となる可能性があります。ただし、国外から送られたメッセージを国内にいる子どもが受け取った場合など、国内犯として扱われる余地がある事案もありますので、自己判断で断念せず警察に相談してください。

告訴権者と告訴の方式 — 16歳未満の被害者のケース

誰が告訴できるか

刑事訴訟法230条は「犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。」と定めます。被害者本人が告訴権者であることは、年齢を問わず変わりません。

これに加えて、同法231条1項は「被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。」と規定しています。16歳未満の被害者の場合、通常は親権者が法定代理人にあたりますから、親権者は被害者本人の意思とは独立して告訴をすることができます。「独立して」とは、被害者本人の同意や委任を要しないという意味です。子どもが被害を申告することに強い抵抗を示している場合でも、親権者の判断で告訴を行う法的な道が開かれています。

さらに同法232条は、被害者の法定代理人が被疑者であるとき、被疑者の配偶者であるとき、または被疑者の4親等内の血族もしくは3親等内の姻族であるときは、被害者の親族が独立して告訴をすることができると定めます。加害者が親権者本人や親族である事案では、この規定が機能します。児童虐待が疑われるケースについては「児童虐待の告訴状の書き方|構成要件・証拠収集・記載のポイントを解説」もあわせてご確認ください。

提出先は警察署長(司法警察員)

刑事訴訟法241条1項は「告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。」と定めます。書面によることも口頭によることも可能ですが、事案が複雑な本罪では、書面によって事実関係と証拠を整理して示すほうが実務的です。

行政書士が作成する告訴状は、警察署長(司法警察員)宛てのものに限られます。検察庁(検察官)宛ての告訴状の作成は、裁判所または検察庁に提出する書類の作成として司法書士の業務範囲に属します(司法書士法3条1項4号)。行政書士法1条の3第2項により、他の法律で制限されている業務を行政書士が行うことはできません。当事務所がお受けするのは、警察署長宛ての告訴状の作成に限られます。

なお、告訴を受理した司法警察員は、刑事訴訟法242条により、速やかにこれに関する書類および証拠物を検察官に送付しなければならないとされています。警察署に提出した告訴状は、この手続を通じて検察官に引き継がれる仕組みです。提出先の選び方については「告訴状の提出先はどこ?警察署と検察庁の違い・管轄・提出方法を解説」で詳しく整理しています。

告訴の取消しと再告訴の制限

刑事訴訟法237条1項は、告訴は公訴の提起があるまで取り消すことができると定め、同条2項は「告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。」と規定します。もっとも、182条は非親告罪ですので、告訴を取り消しても検察官が公訴を提起すること自体は妨げられません。取消しは処罰を求める意思表示を撤回することになりますので、判断は慎重に行う必要があります(「告訴の取消し(取下げ)は可能?撤回の方法と注意点」)。

証拠の整理 — 面会前段階の立証で何が必要か

刑法182条の事案は、被害の中心がデジタル上のやり取りにあるという特徴があります。物理的な被害の痕跡が乏しい一方で、記録が残っていれば要求の内容と経緯を精密に再現できるという性質を持っています。逆に言えば、記録の散逸がそのまま立証の失敗に直結する類型です。

デジタル記録の保全

SNSのダイレクトメッセージ、メッセージアプリのトーク、オンラインゲームのチャット、メール、通話履歴といった記録は、可能な限り早期に保全します。保全の際は、次の点に留意します。

  • 会話の一部だけを切り取らない。性的な発言だけを抜き出すと、前後の文脈やわいせつの目的を推認させる周辺事情が失われます。可能であれば会話全体を通しで保全します。
  • 日時が表示された状態で記録する。反復要求の立証には日時の連続性が不可欠です。スクリーンショットには日時表示を含めます。
  • アカウント名・IDが確認できる画面も保全する。プロフィール画面、アイコン、自己紹介文、フォロー関係などは、行為者の特定と偽計の立証に用いられます。
  • アプリの機能に注意する。一定時間で消去されるメッセージ機能や、送信取消し機能が使われている場合があります。相手が削除する前の保全が重要です。
  • 端末そのものを保全する。子どもの端末を初期化したり、アカウントを削除したりすると、復元できなくなる場合があります。警察に相談するまでは現状を維持することが望ましい対応です。

証拠の集め方全般については「告訴状に必要な証拠の集め方|犯罪類型別の証拠一覧と収集のポイント」に犯罪類型別の整理があります。

年齢と年齢差に関する資料

本罪は被害者の年齢が構成要件の中核をなします。被害者の生年月日を示す資料(戸籍謄本、住民票、健康保険の資格確認書の写しなど)は、告訴状の添付資料として基本になります。

被害者が13歳以上16歳未満の場合には、これに加えて行為者が5年以上前に生まれた者であることを示す手がかりが必要です。加害者の生年月日を被害者側が直接知ることは通常できませんので、把握している情報(会話中に述べた年齢や学年、勤務先、卒業年次、プロフィールの記載、写真から窺われる年代など)を整理し、それらを推認材料として提示することになります。最終的な特定は捜査機関の権限に属する事項ですので、被害者側は把握している事実を正確に伝えれば足ります。

わいせつの目的を推認させる事情

1項および2項では「わいせつの目的」が要件となります。目的の立証は間接事実の積み重ねによりますので、次のような事情が整理の対象になります。

  • 会話中の性的な話題の有無、その頻度と内容
  • 身体、下着、性経験に関する質問の有無
  • 写真・動画の送信要求の有無(3項該当性の検討も同時に行う)
  • 指定された面会場所の性質(自宅、ホテル、車内、人目のつかない場所か)
  • 面会の秘匿を求める発言の有無(「親には言わないで」「二人だけの秘密」など)
  • 面会前後の言動の変化

拒絶と反復の事実(2号該当性)

1項2号を検討する場合は、被害者が拒絶の意思を示した箇所を特定し、その後に要求が繰り返された経緯を日時とともに整理します。拒絶の表現は明示的なものに限らず、「無理」「予定がある」といった婉曲な断り方であることも多いため、やり取り全体を通じて拒絶と評価できる部分を洗い出す作業が必要です。

時系列表の作成

本罪の事案では、初回接触から最新の要求までの経緯が長期にわたることが少なくありません。日時・媒体・相手方の言動・被害者の対応・対応する証拠の所在を1行ずつ整理した時系列表を作り、証拠に通し番号を付して各行から参照できる形にしておくと、告訴状の犯罪事実欄を構成する際にも、警察署での説明の際にも有用です。

告訴状に記載すべき事項と受理に向けた実務ポイント

告訴状には法定の書式があるわけではありませんが、捜査機関が事件として立ち上げるために必要な情報が過不足なく記載されている必要があります。本罪の場合、記載すべき事項は次のように整理できます。

基本的な記載事項

  • 表題:告訴状であることを明示します。
  • 宛先:警察署長(司法警察員)宛てとします。管轄は行為地・被害者の住所地等を踏まえて検討します。
  • 告訴人:被害者本人が告訴する場合はその氏名・住所等。法定代理人が刑事訴訟法231条1項により独立して告訴する場合は、その資格(親権者であること)を明記し、続柄が分かる資料を添付します。
  • 被告訴人:氏名・住所が判明していればこれを記載します。判明していない場合は、アカウント名、ID、電話番号、使用媒体など、特定につながる情報を可能な限り記載します。氏名不詳のままでも告訴は可能です。
  • 告訴の趣旨:どの罪について処罰を求めるのかを明示します。本罪では、刑法182条の何項・何号に該当する行為として告訴するのかを特定することが重要です。
  • 告訴事実(犯罪事実):いつ、どこで、誰が、誰に対し、どのような手段で、何を要求したのかを、構成要件に沿って記載します。年齢要件・年齢差要件に対応する事実も明記します。
  • 立証方法:添付する証拠を一覧化し、それぞれが告訴事実のどの部分を裏づけるのかを対応させます。
  • 添付資料:スクリーンショット、時系列表、被害者の生年月日を示す資料、法定代理人であることを示す資料など。

構成要件に沿った事実の書き分け

本罪の告訴状で受理に至りにくい典型は、「グルーミング被害を受けた」「性的な目的で近づかれた」といった評価だけが並び、条文の要件に対応する具体的事実が書かれていないケースです。182条は項と号によって要件が異なりますので、次のように書き分ける必要があります。

  • 1項1号で構成する場合:どの発言が威迫・偽計・誘惑にあたるのかを、発言内容を引用しながら特定します。
  • 1項2号で構成する場合:拒絶の意思表示があった日時と内容、その後の要求の日時と回数を明示します。
  • 1項3号で構成する場合:供与・申込み・約束のいずれにあたるのか、対象となった利益の内容を特定します。
  • 2項で構成する場合:1項該当の要求行為を特定したうえで、その要求に基づいて面会が実現した経緯を記載します。
  • 3項で構成する場合:要求された姿態の内容が1号・2号のどちらに対応するのかを整理し、要求の文言を特定します。

複数の法令に触れる可能性がある場合

ひとつの事案が刑法182条だけでなく、児童ポルノ禁止法違反や条例違反にも触れる可能性がある場合、告訴状ではそれぞれ該当し得る条文を挙げたうえで、対応する事実を記載しておく方法が考えられます。ただし、罪数関係や最終的な適用法条の判断は捜査機関・検察官の権限に属します。被害者側としては、法的評価を過度に断定するよりも、起きた事実を漏れなく正確に記載することを優先するほうが、かえって受理につながりやすい面があります。

受理されない場合の考え方

告訴状が受理されない理由には、事実の特定が不十分である、証拠が添付されていない、管轄が異なる、といったものがあります。本罪の場合は、公訴時効が3年と短いことから、時効完成が近い、あるいはすでに完成しているとの判断がなされる可能性もあります。一般的な対応は「告訴状が受理されない5つの理由と対策|警察に受理させるコツ」、告訴後の流れは「告訴状の提出から捜査開始までの流れ|告訴後に何が起こるか」をご参照ください。

行政書士が関与できる範囲

行政書士は、行政書士法1条の3第1項に基づき、官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類を作成することを業とします。警察署長(司法警察員)宛ての告訴状は、この書類作成業務の範囲に含まれます。当事務所が承るのは、構成要件に対応する形で警察署長(司法警察員)宛ての告訴状を作成することです。

他方、告訴の代理、捜査機関との折衝、加害者側との示談交渉、損害賠償の請求や金額の算定に関する助言、刑事裁判の被害者参加制度において委託を受けて行う活動といった事項は、弁護士法72条により弁護士の業務範囲に属します。また、検察庁や裁判所に提出する書類の作成は司法書士の業務範囲です。行政書士法1条の3第2項は、他の法律で制限されている業務を行政書士が行うことはできない旨を定めており、当事務所もこの範囲を厳格に守って対応しています。

よくあるご質問

加害者の氏名が分からなくても告訴状は作れますか

作成は可能です。刑事訴訟法上、被告訴人が特定されていることは告訴の要件とされていません。SNSのアカウント名、ID、URL、プロフィール画面、連絡に使われた電話番号やメールアドレスなど、特定につながる情報を可能な限り記載し、資料を添付します。行為者の特定は捜査機関の権限に属する事項です。

子どもが「大ごとにしたくない」と言っています。どうすればよいですか

刑事訴訟法231条1項により、被害者の法定代理人は独立して告訴をすることができます。親権者の判断で告訴を行うことは法的に可能です。ただし、捜査の過程で被害者本人の事情聴取が必要になる場面は避けられませんので、被害者本人の心身の状態への配慮は欠かせません。各都道府県には性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターが設置されており、警察には性犯罪被害相談電話(#8103)が設けられています。医療・心理面の支援と刑事手続を並行して検討することをおすすめします。

相手が同年代の中学生でした。刑法182条は成立しますか

被害者が13歳以上16歳未満の場合、行為者が「その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者」でなければ本罪は成立しません。同年代の場合は年齢差要件を満たさない可能性が高いといえます。ただし、被害者が13歳未満の場合には年齢差要件はありません。また、行為の内容によっては、条例違反その他の法令の適用が問題となる場合があります。

面会も画像送信も実現しませんでした。それでも犯罪になりますか

1項は「面会を要求すること」を、3項は映像送信を「要求した者」を処罰する規定です。いずれも要求行為があれば構成要件に該当し得ますので、面会や送信が実現しなかったことは、それ自体が不成立の理由にはなりません。

被害が3年以上前のことです

刑法182条の公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。182条は同条3項各号に掲げられていないため、性犯罪の公訴時効延長規定および被害者が18歳に達する日までの加算規定の対象外です。ただし、同じ加害者による行為が不同意わいせつ罪や不同意性交等罪、児童ポルノ禁止法違反、児童福祉法違反にも及んでいる場合には、それらの罪について異なる公訴時効期間が適用されます。時効の判断は罪名ごとに異なりますので、まずは把握している事実の全体を警察に相談されることをおすすめします。

送ってしまった画像を削除させたいのですが

刑事手続とは別に、画像の削除に関しては、事業者への削除要請や情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法。令和7年4月1日に改称・改正法施行)に基づく手続などが問題となります。また、性的姿態等撮影処罰法には、押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する規定が置かれています。個別の削除請求手続については、弁護士や各種相談窓口にご相談ください。

学校や塾の関係者が加害者の場合はどうなりますか

行為の内容が刑法182条の構成要件に該当すれば、加害者の職業や立場を問わず成立し得ます。加えて、加害者が被害者を現に監護する者にあたる場合には刑法179条(監護者わいせつ罪・監護者性交等罪)の適用が問題となりますが、同条の「現に監護する者」は生活全般にわたって保護・監督している者を指すと解されており、学校の教員や塾の講師が当然にこれに当たるわけではありません。もっとも、刑法176条1項8号は「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること」等を掲げていますので、立場を利用した働きかけがあった事案では同号の該当性が検討対象となります。児童生徒間のいじめなど、学校内で生じた他の犯罪被害については「いじめによる傷害・恐喝の告訴状|学校内犯罪・未成年加害者への対応を解説」もあわせてご覧ください。

告訴状・告発状の作成でお困りの方へ。行政書士法人Treeでは、警察署長(司法警察員)宛ての告訴状・告発状の作成を承ります。書類作成に関するご相談は何度でも無料です。

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まとめ

刑法182条は令和5年法律第66号により新設され、令和5年7月13日から施行された規定です。1項が不当な手段を用いた面会要求(1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)、2項がその結果としての面会(2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)、3項が性的な姿態の映像送信要求(1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)を処罰します。実際のわいせつ行為に至る前の段階を独立の犯罪として類型化した点に、この規定の意義があります。

構成要件で最も注意を要するのは年齢差要件です。被害者が13歳以上16歳未満の場合、行為者は「その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者」でなければならず、学年差や満年齢ではなく生年月日を基準に判定されます。13歳未満の被害者にはこの要件はありません。また、1項が「わいせつの目的」と手段の限定を要求するのに対し、3項には条文上そのいずれもなく、2号について「わいせつなものであるものに限る」という客観的限定が置かれているという構造の違いも押さえておく必要があります。

手続面では公訴時効が3年である点が決定的に重要です。刑法182条は刑事訴訟法250条3項各号に掲げられておらず、令和5年改正で導入された性犯罪の時効延長も、被害者が18歳に達する日までを加算する4項の規定も適用されません。行為時から3年で時効が完成しますので、被害に気づいた時点での早期相談が不可欠です。なお、182条は非親告罪であり、告訴期間6か月の制限は適用されません。未遂処罰規定はなく、刑法3条の国民の国外犯処罰の対象にも含まれていません。

立証の中心はデジタル記録です。会話の一部だけを切り取らず、日時表示を含めて全体を保全すること、アカウント情報の画面も併せて残すこと、端末を初期化しないことが、その後の手続を大きく左右します。被害者の生年月日を示す資料、加害者の年齢を推認させる情報、拒絶と反復の経緯を示す時系列表を整えておくと、警察署での説明を進めやすくなります。

行政書士法人Treeでは、行政書士法1条の3第1項に基づく書類作成業務として、警察署長(司法警察員)宛ての告訴状・告発状の作成を承っています。ご相談の内容を伺い、刑法182条のどの項・どの号に対応する事実なのかを明確にした告訴状を作成します。書類作成に関するご相談は何度でも無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

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