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ウズベキスタンの特定技能|送出機関は任意・移民庁の現行窓口

更新: 約27分で読めます

中央アジアのウズベキスタン共和国は、人口約3,700万人のうち若年層の比率が高く、海外就労を志向する人材が多い国として、日本の受入れ企業からも関心を集めている送出国です。日本とウズベキスタンとの間では、2019年(令和元年)12月17日に特定技能に関する協力覚書(MOC)が署名されており、制度上の受入れ基盤はすでに整っています。

もっとも、ウズベキスタンからの特定技能受入れには、ベトナムやフィリピンなど他の送出国と決定的に異なる特徴があります。それは、ウズベキスタン政府が認定した送出機関の利用が「任意」とされており、ウズベキスタン政府から承認や許可等を受ける必要がないという点です。この一点を誤解したまま準備を進めると、不要な費用や時間を投じることにもなりかねません。

本記事では、出入国在留管理庁が公表している協力覚書の原文と手続解説資料、e-Gov法令検索で確認できる法令の条文、そして最新の統計データという一次情報に基づいて、ウズベキスタンからの特定技能外国人受入れの制度構造と実務上の留意点を、実務目線で解説します。あわせて、しばしば混同される技能実習制度の「認定送出機関」との違いや、ウズベキスタン側の行政組織の再編についても整理します。

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ウズベキスタンからの特定技能受入れ|制度の全体像

特定技能制度は、出入国管理及び難民認定法(入管法)別表第一の二の表に定められた在留資格「特定技能」に基づき、人手不足が深刻な産業分野において一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れる制度です。2019年(平成31年)4月1日に運用が開始されました。

特定技能制度そのものは、国籍を問わず適用される日本の国内法上の制度です。したがって、ウズベキスタン国籍の方を受け入れる場合であっても、在留資格認定証明書の交付申請、査証(ビザ)の発給申請、在留資格変更許可申請といった日本側の手続の枠組みは、他国籍の方と変わりません。

一方で、送出国側では、自国民の海外就労を管理するために独自の出国前手続を課している国が少なくありません。たとえばフィリピンでは海外雇用許可証(OEC)の取得が、ネパールでは労働許可証の取得が、それぞれ求められます。こうした送出国側の手続の有無と内容が、受入れスケジュールを大きく左右します。

送出国としてのウズベキスタンの基礎情報

受入れ体制を設計するうえで、送出国の基礎的な事情を押さえておくことは実務上の意味を持ちます。外務省が公表する基礎データによれば、ウズベキスタン共和国の面積は44万8,969平方キロメートル(日本の約1.2倍)、人口は約3,710万人(2025年、国連人口基金)、首都はタシケントです。

言語については、国家語はウズベク語であり、あわせてロシア語も広く使用されているとされています。民族構成はウズベク系が約8割強を占め、タジク系、カザフ系、カラカルパク系、ロシア系などが続きます。宗教は主としてイスラム教スンニ派です。

この宗教的背景は、受入れ後の生活支援の設計に直結します。食事、礼拝の時間と場所、宗教上の休日への配慮は、法令上の義務そのものではないものの、定着率を大きく左右する要素です。実務上の対応方法は育成就労の宗教・文化配慮|ハラル食・礼拝場所・休日対応の実務で整理しており、特定技能の受入れでも考え方は共通します。

出入国在留管理庁が公表している見解

ウズベキスタンについて、出入国在留管理庁は「ウズベキスタンに関する情報」のページで次のとおり明示しています。

「ウズベキスタンについては、特定技能外国人を受け入れるに当たって、ウズベキスタン政府から承認や許可等を受ける必要はないとのことです」

さらに、同ページの「認定送出機関」の項目では、「ウズベキスタンについては、特定技能外国人を受け入れるに当たって、必ずしもウズベキスタン政府が認定した送出機関を利用する必要はない(送出機関の利用は任意)とのことです」と記載されています。

つまり、ウズベキスタンからの特定技能受入れにおいては、送出国政府の許可という「関門」が存在しないということです。これは実務上、手続の簡素さという利点にもなりますが、同時に、送出国政府による仲介事業者の監督が及びにくいという側面も併せ持ちます。この二面性を理解しておくことが、適正な受入れの出発点になります。

「外国労働庁(AEM)」の正確な名称と組織再編

ウズベキスタンの労働移住行政を担う機関は、日本語圏の記事やセミナー資料では「外国労働庁」「対外労働移住庁」「AEM」「AELM」など、さまざまな呼び方で紹介されています。しかし、一次情報に当たると、名称と組織の位置づけには注意すべき点があります。

出入国在留管理庁の公式資料における表記

出入国在留管理庁が公表している「ウズベキスタン国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続の流れ」(手続の解説)では、当該機関は次のように表記されています。

「雇用・労働関係省対外労働移民庁(Agency of External Labour Migration, Ministry of Employment and Labour Relations of Uzbekistan)」

すなわち、出入国在留管理庁の手続解説における日本語表記は「対外労働移民庁」であり、英語名は Agency of External Labour Migration です。「外国労働庁」という表記は、出入国在留管理庁の公表資料では用いられていません。英語名の頭文字を取った略称としては AEM のほか AELM も用いられますが、書面では略称ではなく正式名称を用いるのが安全です。

協力覚書における位置づけ

特定技能に係る協力覚書では、両国の連絡窓口が次のとおり指定されています。

  • 日本国:出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課
  • ウズベキスタン共和国:雇用・労働関係省付属対外労働移民庁

このように、対外労働移民庁は覚書上の連絡窓口として明記された機関です。ただし、覚書の当事者(署名主体)はあくまで「ウズベキスタン共和国雇用・労働関係省」であり、対外労働移民庁は同省に付属する実施機関という関係にあります。

2024年の組織再編に注意

ウズベキスタン側では、その後に大きな組織再編が行われています。2024年10月17日付の大統領令 PF-162「移住管理システム改革の優先措置について」により、内閣付属移民庁(The Migration Agency under the Cabinet of Ministers。「閣僚会議附属移住庁」と訳されることもあります)が設置され、従前の対外労働移民庁を引き継ぐ形で、対外労働移住分野の国家政策を実施する権限機関と位置づけられました。所管も、雇用関係省庁の下部組織から内閣(閣僚会議)直属へと格上げされています。出入国在留管理庁の「ウズベキスタンに関する情報」ページも、現在は問合せ先として「ウズベキスタン共和国内閣付属移民庁」を掲載しています。

ウズベキスタン政府のポータルによれば、この移民庁は、国外での就労を希望する者を対象とする民間職業紹介機関の許認可、出国前の適応・職業訓練、在外自国民の支援などを所掌しています。

実務上の含意は次のとおりです。出入国在留管理庁が公表している手続解説やフローチャート(PDF)は、覚書署名当時の機関名(対外労働移民庁)のまま記載されています。一方、同庁ウェブページの問合せ先欄や現地の許認可の実態は内閣付属移民庁に移行しているため、相手方が提示する許認可証や登記書類の発給機関名が、参照する資料によって異なる名称で現れることがあり得ます。名称の不一致をもって直ちに偽造と判断するのではなく、発給機関の沿革を確認したうえで判断する必要があります。逆に、実体のない機関名を掲げる仲介業者を見分けるための着眼点にもなります。

特定技能に係る協力覚書(MOC)の中身

日本とウズベキスタンの特定技能に関する協力覚書は、日本政府が公表する和文仮訳では「日本国法務省、外務省、厚生労働省及び警察庁とウズベキスタン共和国雇用・労働関係省との間の在留資格『特定技能』を有する外国人に係る制度の適正な運用のための情報連携の基本的枠組みに関する協力覚書」と題されています。覚書は英語により二通作成され、2019年(令和元年)12月17日に東京で、森まさこ法務大臣とノジム・フサーノフ雇用・労働関係大臣との間で署名・交換が行われました。以下の条項の引用は、この和文仮訳によります。

目的

覚書1項は、その目的を、情報連携の基本的枠組みを定めることにより、特定技能外国人を保護しつつ、円滑かつ透明な送出し・受入れプロセスを確保すること(特に、悪質な仲介機関の排除)などと定めています。「悪質な仲介機関の排除」が目的として明文で掲げられている点は、送出機関の利用が任意であるウズベキスタンにおいてこそ重要な意味を持ちます。

情報共有の対象となる5類型の行為

覚書4項(1)は、両国の省庁が速やかに共有すべき情報として、求人・求職に関与する仲介機関(「特定技能仲介機関」)による次の行為に関する情報を挙げています。

類型 内容
(a) 保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、特定技能外国人等・その親族・関係者の金銭その他の財産を管理すること
(b) 契約の不履行について違約金を課す契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約をすること
(c) 暴行、脅迫、自由の制限その他特定技能外国人等の人権を侵害する行為
(d) 入管手続・査証手続に関し、不正に許可や査証等を受けさせる目的で、偽造・変造・虚偽の文書又は図画を行使し、又は提供する行為
(e) 徴収する手数料その他の費用について、算出基準を示さず、かつ、その額及び内訳を十分に理解させないで徴収する行為

この5類型は、そのままウズベキスタンの送出機関や仲介業者を評価する際のチェックリストとして機能します。特に(e)は、手数料の総額だけでなく「算出基準の提示」と「内訳の理解」まで求めている点が重要です。契約前に手数料の内訳表を書面で提出させ、候補者本人がその内容を理解していることを確認する運用が望まれます。

問題是正等のための協議

覚書4項(2)は、両国が随時協議を行い、制度の適正な運用のために改善が必要とされる問題の解決に努めるものとし、主な協議内容として次の事項を列挙しています。

  • (a) 本制度に係る両国の政策の実施および変更に関する事項
  • (b) 特定技能仲介機関の適正さの確保に関する事項(必要な是正措置の在り方を含む)
  • (c) 送出し・受入れに係る各種審査、日本国内の不適正な受入機関または1号特定技能外国人に対する支援を行う不適正な機関、およびウズベキスタン国内の不適正な送出機関に対する是正措置に関する事項
  • (d) 技能および日本語能力の測定試験の適正な実施に関する事項
  • (e) 特定技能外国人の日本国での在留管理に関する事項
  • (f) 上記のほか、本制度その他関連する両国の出入国または労働に係る制度の適正な運用に関する事項

(c)が、日本国内の不適正な受入機関・支援機関と、ウズベキスタン国内の不適正な送出機関の双方を是正措置の対象として並べている点は注目に値します。問題は送出国側だけに生じるものではないという前提が、覚書の文言に表れています。

試験に関する協力

覚書4項(3)は、日本の関係省庁等が試験に関する必要な情報をウズベキスタン側に提供し、ウズベキスタン側は試験の実施や関連する日本語教育に係る事業について協力を求められたときは可能な範囲で協力する、と定めています。

あわせて、試験に関し、別人による受験や合格を証する文書の偽造・変造その他の不正な行為に関する情報を得たときは、4項(1)の枠組みに準じて速やかに共有することとされています。替え玉受験や合格証書の偽造は、送出国を問わず現実に起こり得る問題であり、受入れ企業としても、提出された試験合格証明の真正性に注意を払う必要があります。

受入れの一時停止と帰国の確保

覚書5項は、日本の省庁が、受入れ分野ごとに不足する人材が確保されたと認める場合には、日本の出入国に関する法令の規定に従い、特定技能外国人の受入れを一時的に停止することができると定めています。分野別の受入れ見込数は上限として運用されており、実際に受入れが停止される分野も生じ得ます。特定の分野で受入れ計画を立てる際は、当該分野の受入れ状況を事前に確認しておく必要があります。

また同項は、在留が認められなかった場合には、ウズベキスタン側が、円滑な帰国を確保するため、駐日ウズベキスタン共和国大使館とともに、日本側の要請に応じて臨時旅券の発給等必要な手続を行うよう努めるものとしています。旅券を紛失した場合などの出国手続の道筋が、覚書上に確保されている形です。

さらに覚書6項は、制度の運用開始から2年後に実施される制度の見直しを踏まえ、協力の枠組みを必要に応じて見直すこととし、覚書の内容は両国の書面による同意により修正または補足されると定めています。

有効期間と自動延長

覚書7項は、署名の日から5年間実施され、一方の当事者が遅くとも失効日の60日前までに終了の意図を通知しない限り、自動的に5年間延長されると定めています。5年間の期間が終わる前に終了を希望する場合は、遅くとも終了日の90日前までに書面で通知することとされています。2019年12月17日の署名から起算すると、終了通知がなされない限り、この自動延長条項によって枠組みが継続する設計です。

ウズベキスタンに「認定送出機関」制度はあるのか

本記事の核心となる論点です。結論から述べると、「認定送出機関」という枠組みが用いられているのは技能実習制度(と2027年施行予定の育成就労制度)であり、特定技能制度においてウズベキスタンの認定送出機関の利用は義務ではありません。

技能実習制度における認定送出機関

日本とウズベキスタンは、技能実習に関する二国間取決めを2019年1月15日に署名しています。技能実習制度では、送出国政府から提供のあった認定送出機関のリストが外国人技能実習機構(OTIT)のウェブサイトに掲載されており、ウズベキスタンも掲載国の一つです。OTITのリストには、現に認定されている機関のほか「過去に認定されていた機関」も併記されています。

技能実習制度において認定送出機関の利用が求められるのは、技能実習法に基づく監理団体の許可基準・技能実習計画の認定基準の中で、取次送出機関が二国間取決めに基づき送出国政府から認定を受けていることが要求されるためです。

特定技能制度では位置づけが異なる

これに対し特定技能制度では、送出機関の利用そのものが法律上の要件とされていません。特定技能雇用契約は、受入機関と外国人本人との間で直接締結されるものであり、その間に送出機関が介在するか否かは制度の要件ではないのです。

ウズベキスタンの場合、この一般原則がそのまま当てはまります。出入国在留管理庁の手続解説は、受入機関が採り得る方法として次の2つを並列に示しています。

  • 民間の送出機関または対外労働移民庁との間で人材募集に係る契約を締結し、これらを通じて人材の提供を受けたうえで雇用契約を締結する方法
  • 送出機関を通じることなく、直接ウズベキスタン国籍の方との間で雇用契約を締結する方法

いずれの方法も採ることが可能である、というのが公式の説明です。したがって、「ウズベキスタンの認定送出機関を通さなければ特定技能で受け入れられない」という説明は、制度上の根拠を欠きます。もしそのような説明を前提に高額な手数料を求められている場合には、契約内容を慎重に精査すべきです。

両制度の違いを表で整理する

ウズベキスタンに関する限り、両制度の送出しに関する取扱いは次のように整理できます。

項目 技能実習 特定技能
二国間取決めの署名日 2019年1月15日 2019年12月17日
認定送出機関リストの公表 あり(外国人技能実習機構が掲載) リストに基づく利用義務なし
送出機関の利用 取次送出機関を介する仕組み 任意(直接雇用も可)
送出国政府の承認・許可 認定の枠組みあり 不要
受入機関と本人の契約 技能実習計画の認定を前提とする 特定技能雇用契約を直接締結

外国人技能実習機構が公表する認定送出機関リストは協力覚書の締結順に国が並べられており、各国について「認定送出機関リスト」と「過去に認定されていた機関」が分けて掲載されています。過去に認定を取り消された、あるいは認定が失効した機関が存在することを前提とした構成です。技能実習ルートを併用する場合は、現時点のリストに掲載されているかを都度確認してください。

なお、技能実習制度は2027年施行予定の育成就労制度へと移行します。育成就労制度では、原則として二国間取決め(協力覚書)を作成した国からのみ受け入れることとされ、送出機関への規制も強化されます。ウズベキスタンとは、育成就労に関する協力覚書が2026年5月20日(東京)と6月29日(タシケント)に署名されています。相手方は、和文仮訳で「ウズベキスタン共和国内閣府附属移民庁」と表記されている機関です。育成就労制度の認定送出機関リストも、外国人技能実習機構のウェブサイトに掲載されています(掲載・更新日は2026年8月18日)。詳しくは育成就労の送出機関規制|手数料上限・契約書様式・二国間取決めの強化で解説しています。

受入れの3つのルートと手続の流れ

出入国在留管理庁が公表しているフローチャートは、ウズベキスタン国籍の方を特定技能外国人として受け入れる場合の流れを、3つのパターンに分けて図示しています。

ルート1|送出機関または対外労働移民庁を通じて雇用する場合

この場合の流れは次の9段階です。

  1. 受入機関とウズベキスタンの送出機関または対外労働移民庁との間で、募集に関する契約を締結する
  2. 送出機関等によるあっせん
  3. 受入機関と申請人との間で雇用契約を締結する
  4. 受入機関が地方出入国在留管理局へ在留資格認定証明書の交付を申請する
  5. 在留資格認定証明書の交付
  6. 受入機関から申請人へ在留資格認定証明書を送付する
  7. 申請人が在ウズベキスタン日本国大使館へ査証を申請する
  8. 査証の発給
  9. 出国し、特定技能外国人として入国する

申請人となり得るのは、帰国した技能実習2号または3号を良好に修了した者、および技能試験・日本語試験に合格した者です。

ルート2|送出機関等を通じないで雇用する場合

直接雇用の場合は、上記の①②が不要となり、雇用契約の締結から始まる7段階の流れになります。仲介機関が介在しないため、手数料をめぐるトラブルのリスクは構造的に低くなります。一方で、候補者の募集・選考、渡航前の連絡調整、書類収集などを受入機関が自ら担うことになります。

ルート3|日本に在留する方を受け入れる場合

すでに日本に在留しているウズベキスタン国籍の方を受け入れる場合は、①雇用契約の締結、②地方出入国在留管理局への在留資格変更許可申請、③在留資格変更許可、という3段階で完結します。在留資格認定証明書も査証も不要です。

なお、ウズベキスタン側の手続に関する照会先として、出入国在留管理庁の手続解説は駐日ウズベキスタン共和国大使館を案内しています。同庁のウェブページには、これに加えてウズベキスタン共和国雇用・労働関係省および内閣付属移民庁の連絡先も掲載されています。最新の連絡先は同庁の公表資料で確認してください。

送出機関を利用する場合の日本側の法規制

ウズベキスタン政府の許可が不要であることは、日本の法規制が緩やかであることを意味しません。むしろ、特定技能では送出国政府の承認・許可が求められていないぶん、日本の職業安定法による規律が実質的な歯止めとして重要になります。

あっせん行為には職業紹介事業の許可が必要

出入国在留管理庁のフローチャートには、次の注記が付されています。

「認定送出機関による求職者の人選を行う行為はあっせんに当たるため、仮にこのような行為を行う場合には、日本国内の職業紹介事業者としての許可を得る必要があります」

職業安定法第30条第1項は、有料の職業紹介事業を行おうとする者は厚生労働大臣の許可を受けなければならないと定めています。この規定に違反した場合、同法第64条第1号により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科され得ます。

同庁のウズベキスタンに関する情報ページも、「受入機関が人材の紹介を受けるにあたっては、受入機関のみならず、受入機関が利用する職業紹介事業者や認定送出機関も職業安定法に抵触しないことが求められます」と明記しています。受入機関としては、紹介元が有料職業紹介事業の許可を受けているかを許可証で確認することが基本動作となります。

求職者からの手数料徴収は原則禁止

職業安定法第32条の3第2項本文は、有料職業紹介事業者は求職者からは手数料を徴収してはならないと定めています。厚生労働省令で定める場合に限り例外が認められますが、原則は徴収禁止です。

この原則は、候補者本人から高額な手数料を徴収する構造が、来日後の失踪や不法就労の温床となってきたという実務上の経験を踏まえたものです。ウズベキスタンの仲介業者が候補者本人から多額の費用を徴収している場合、その費用がどの法域の誰に対して支払われているのかを確認する必要があります。

「取次機関」としての届出

職業安定法施行規則第17条の5第1項第5号は、「法の施行地外の地域における求人又は求職の申込みについて取次ぎを行う機関」を取次機関と定義しています。ウズベキスタンの送出機関は、日本の職業紹介事業者から見れば、まさにこの取次機関に当たります。

同規則第18条第2項は、有料職業紹介事業の許可申請書に、取次機関を利用する場合における当該取次機関の名称、住所および事業内容を記載すべきことを定めています。さらに同条第3項は、国外にわたる職業紹介を行おうとするときは相手先国に関する書類を、取次機関を利用しようとするときは当該取次機関に関する書類を、それぞれ添付すべきものとしています。取次機関を利用しなくなった場合の変更届出についても、同規則第23条第1項に定めがあります。

したがって、日本側の職業紹介事業者が届出をしていない取次機関を経由して人材を紹介している場合、その紹介経路には法令上の問題が潜んでいる可能性があります。受入機関としては、紹介契約を締結する前に、取次機関としてウズベキスタンの相手方が届け出られているかを確認しておくと安全です。

手数料・保証金トラブルを防ぐ実務上のチェックポイント

特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令(平成31年法務省令第5号。以下「基準省令」)は、受入機関が満たすべき基準を定めています。送出機関との関係で特に重要な条項を確認します。

保証金・違約金に関する基準

基準省令第2条第1項第6号は、外国人が他の者に保証金の徴収その他名目のいかんを問わず金銭その他の財産の管理をされている場合、または違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約を締結している場合には、そのことを認識して特定技能雇用契約を締結していないことを求めています。

同項第7号は、受入機関自身が他の者との間でそのような違約金契約等を締結していないことを求めています。

実務上の要点は、第6号が受入機関に「認識」を問うている点です。送出機関が候補者から保証金を徴収している事実を知りながら雇用契約を締結すれば、基準不適合となり得ます。したがって、候補者本人に対して、保証金や違約金の有無を直接確認し、その結果を記録に残しておくことが有効です。この確認は、事前ガイダンスの機会に行うのが自然です。事前ガイダンスの実施方法については特定技能の事前ガイダンス|10項目の説明事項・実施方法・時間をご覧ください。

支援費用を本人に負担させない

基準省令第2条第1項第8号は、1号特定技能外国人と雇用契約を締結しようとする機関について、一号特定技能外国人支援に要する費用を、直接又は間接に当該外国人に負担させないこととしていることを求めています。

「間接に」という文言が置かれている点に注意が必要です。支援委託費を給与から控除する、あるいは送出機関経由で本人に転嫁するといった形態は、いずれも本号に抵触するおそれがあります。なお、育成就労制度における費用負担のルールは育成就労の費用負担ルール|監理支援費・送出機関手数料・住居費控除を解説で解説しています(育成就労制度のルールであり、特定技能にそのまま当てはまるものではありません)。

帰国旅費の負担

基準省令第1条第2項第1号は、外国人が特定技能雇用契約の終了後の帰国に要する旅費を負担することができないときは、受入機関がその旅費を負担するとともに、出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていることを求めています。送出機関との契約でこの負担を誰が担うのかが曖昧なまま進むと、契約終了時に紛糾しがちな論点です。

ウズベキスタン人材の受入れ実績|数字で見る現在地

制度の建付けを理解したうえで、実際の受入れ規模を確認しておきましょう。出入国在留管理庁が公表した令和7年12月末現在の特定技能在留外国人数(速報値)によれば、特定技能在留外国人数は全体で390,296人と過去最高を記録しました。内訳は特定技能1号が382,341人、特定技能2号が7,955人です。

特定技能1号の国籍・地域別の上位5か国は、ベトナム158,497人(41.5%)、インドネシア86,523人(22.6%)、ミャンマー44,315人(11.6%)、フィリピン35,521人(9.3%)、中国21,418人(5.6%)です(構成比はいずれも特定技能1号の総数に対する割合)。

ウズベキスタンの実数

同じ統計の国籍・地域別詳細表によれば、ウズベキスタン国籍の特定技能1号は100人です。特定技能1号全体に占める割合は0.03%程度にとどまります。分野別の内訳は次のとおりです。

特定産業分野 特定技能1号(人)
介護 32
建設 24
農業 10
外食業 9
宿泊 7
飲食料品製造業 7
ビルクリーニング 6
航空 3
自動車整備 2
合計 100

特定技能2号については、ウズベキスタン国籍は2人(自動車整備1人、宿泊1人)となっています。1号・2号を合わせても102人という規模です。

なお、この統計における国籍・地域の区分では、ウズベキスタンは「ヨーロッパ」に分類されています。地域別の集計表を参照する際は、アジアの項目を探しても見つからないため注意が必要です。

数字から読み取れること

送出機関の利用が任意で、送出国政府の許可も不要という、手続的には最も参入しやすい条件が整っているにもかかわらず、受入れ実績は100人規模にとどまっています。これは、制度上の障壁の低さと実際の送出しの多寡が必ずしも連動しないことを示しています。

背景としては、ウズベキスタンからの労働移住が歴史的にロシアやカザフスタンなど近隣国に向いてきたこと、日本語学習や技能試験の受験機会の整備が他の主要送出国に比べて途上にあることなどが考えられます。一方で、介護分野が32人と最も多く、建設が24人で続いている構成は、これらの分野での関心の高さを示唆しています。

受入れ企業にとっては、実績が少ないことは先行事例が乏しく、社内に蓄積されたノウハウに頼れないことを意味します。日本語学習支援や生活支援の設計を、他国籍の実績をそのまま流用せず、個別に組み立てる姿勢が求められます。

受入れ企業が整えるべき体制と在留資格手続

ウズベキスタンからの受入れであっても、日本側で求められる体制整備と手続は、他の送出国と共通です。要点を整理します。

特定産業分野の確認

受け入れようとする業務が特定産業分野に該当することが大前提です。特定産業分野は、出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の特定技能の項の下欄に規定する産業上の分野等を定める省令(平成31年法務省令第6号)に定められています。

同省令は令和8年法務省令第22号により改正され、2026年3月31日公布・2026年4月1日施行で、特定産業分野は19分野となりました。条文上の列挙順は、介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業、資源循環です。

従前の16分野にリネンサプライ・物流倉庫・資源循環が追加された形ですが、新規3分野については分野別運用方針や告示基準の整備、技能試験の実施を経て順次受入れが可能になる段階にあります。実際に受け入れられるかは、分野所管省庁の公表情報で個別に確認してください。

支援体制の整備

特定技能1号の外国人を受け入れる場合、受入機関は1号特定技能外国人支援計画を作成し、これに基づく支援を実施する義務を負います。支援計画の記載事項は基準省令第3条に、支援計画の基準は同第4条に定められています。

義務的支援の内容は基準省令第3条第1項第1号イからヌに列挙されており、事前ガイダンス、出入国する際の送迎、住居確保・生活に必要な契約に係る支援、生活オリエンテーション、公的手続等への同行、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応、日本人との交流促進、転職支援、定期的な面談・行政機関への通報から構成されます。

また、基準省令第3条第2項は、支援計画を日本語および対象となる外国人が十分に理解することができる言語により作成し、本人にその写しを交付しなければならないと定めています。ウズベキスタンの国家語はウズベク語であり、ロシア語も広く通じますが、本人がどの言語であれば十分に理解できるかは個別に確認すべき事項です。「ロシア語で通じるはずだ」という一般化は避けるべきです。

支援計画の全体像と登録支援機関への委託については特定技能1号の支援計画とは?義務的支援10項目と登録支援機関への委託を解説で、生活オリエンテーションの詳細は特定技能の生活オリエンテーションとは|8時間・必須項目・確認書を解説で、それぞれ詳しく解説しています。

登録支援機関への委託

支援の全部を登録支援機関に委託することも可能です。委託する場合は、登録支援機関の選定が受入れの成否を左右します。登録支援機関の登録要件については登録支援機関の登録要件7項目|2027年改正・中立性・支援体制・再委託禁止を解説をご参照ください。

在留資格手続と手数料

在留資格認定証明書交付申請には手数料がかかりません。在留資格変更許可申請と在留期間更新許可申請の手数料は、2026年9月30日までに受け付けた申請なら6,000円(オンライン申請は5,500円)です。2026年10月1日以降に受け付けた申請は、許可された在留期間に応じて1万円〜7万5,000円(オンライン申請は1万円〜6万5,000円)になります(令和8年政令第268号、2026年10月1日施行)。手数料は申請時ではなく許可を受けるときに納めますが、どちらの額になるかは申請の受付日で決まります。

ウズベキスタンから新たに呼び寄せる場合は在留資格認定証明書交付申請から始まるため、この申請の手数料はかかりません。すでに日本に在留している方を受け入れる場合は在留資格変更許可申請の手数料が、来日後に在留期間を更新する際は在留期間更新許可申請の手数料が、それぞれ必要です。

受入れ後の届出

受入れ後も、特定技能雇用契約の変更・終了、支援計画の変更、受入れ困難・支援実施困難となった場合などについて、届出義務があります。届出の種類と期限は特定技能の随時届出一覧|契約変更・支援計画変更・受入れ困難・支援実施困難時の14日ルールに整理しています。

また、特定技能1号は通算在留期間が原則5年以内とされているため(特定技能2号評価試験等に不合格となった者のうち一定の要件を満たす場合は6年)、長期就労を見据える場合は特定技能2号への移行を検討することになります。移行ルートは特定技能2号への移行ルート|令和9年日本語B1要件・分野別試験・実務経験・通算在留期間で解説しています。

ウズベキスタンからの受入れで特に注意したい実務論点

仲介業者の実在性と権限の確認

送出国政府の認定という公的なフィルターがない以上、仲介業者の適格性は受入機関が自ら見極めることになります。最低限、次の点を確認してください。

  • ウズベキスタン国内で職業紹介・海外雇用に関する許認可を受けているか(現在は内閣付属移民庁が民間職業紹介機関の許認可を所掌)
  • 日本側の紹介経路に有料職業紹介事業の許可を受けた事業者が介在しているか
  • 候補者本人が支払う費用の項目・金額・算出基準が書面で明示されているか
  • 保証金・違約金・強制貯金に類する取決めが存在しないか

書類の言語と翻訳

ウズベキスタンで発給される公文書はウズベク語またはロシア語で作成されます。在留資格の申請に用いる場合、日本語訳の添付が必要です。訳文には翻訳者の氏名を記載するのが実務上の取扱いです。また、卒業証明書や職歴証明書などは、記載内容と本人の申告内容が整合しているかを、原本と訳文の双方で照合してください。

技能試験・日本語試験の受験機会

特定技能1号の要件を満たすには、技能水準と日本語能力水準を試験等で証明する必要があります(技能実習2号を良好に修了した者などの免除ルートを除く)。試験の実施国・実施回数は分野ごとに異なり、ウズベキスタン国内で実施されていない分野もあります。候補者の選定に着手する前に、当該分野の試験がどこで受験可能かを確認しておかないと、内定後に手続が進まない事態になりかねません。

育成就労制度への移行を見据える

技能実習制度は2027年施行予定の育成就労制度に移行し、育成就労産業分野は17分野とされています。ウズベキスタンは技能実習の二国間取決め締結国であり、OTITの技能実習の認定送出機関リストにも掲載国として名を連ねています。育成就労についても前述のとおり協力覚書の署名を終えており、技能実習とは別に育成就労制度の認定送出機関リストが公表されています。育成就労では送出機関への規制が技能実習より強化されるため、技能実習ルートと特定技能ルートの双方を検討している企業は、制度改正の動向を継続的に確認する必要があります。両制度の違いは育成就労と技能実習の対比表|目的・転籍・在留期間・送出機関規制を一覧化で一覧化しています。

特定技能外国人の受入れをご検討の企業様へ。行政書士法人Treeでは、在留資格の申請取次から支援計画の作成・各種届出までをサポートします。ご相談は何度でも無料です。

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まとめ

ウズベキスタンからの特定技能受入れの最大の特徴は、送出機関の利用が任意であり、ウズベキスタン政府から承認や許可等を受ける必要がない点にあります。出入国在留管理庁が公式に示しているこの取扱いは、民間の送出機関を通じる方法、対外労働移民庁を通じる方法、直接雇用する方法のいずれも選択できることを意味します。

他方で、出入国在留管理庁の手続解説における表記は「雇用・労働関係省対外労働移民庁(Agency of External Labour Migration)」であり、「外国労働庁」という表記は同庁の公表資料では用いられていません。加えて、2024年10月17日付大統領令PF-162により内閣付属移民庁が設置され、対外労働移民庁を引き継ぐ組織再編が行われています。相手方が示す許認可書類の発給機関名を確認する際は、この沿革を踏まえる必要があります。

技能実習制度の「認定送出機関」と特定技能制度を混同しないことも重要です。OTITが公表する認定送出機関リストは技能実習(と育成就労)の枠組みであり、特定技能でウズベキスタンの認定送出機関の利用を義務づける法令上の根拠はありません。「認定送出機関でなければ受け入れられない」という前提で高額な手数料を提示された場合は、契約内容を精査すべきです。

特定技能では送出国政府の承認・許可が求められていないぶん、日本の職業安定法と基準省令による規律が実質的な歯止めになります。あっせん行為には職業安定法第30条第1項の許可が必要であり、無許可であれば同法第64条第1号により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象となり得ます。求職者からの手数料徴収は同法第32条の3第2項により原則禁止です。受入機関側では、基準省令第2条第1項第6号から第8号が定める保証金・違約金・支援費用の負担禁止に留意してください。

令和7年12月末時点でウズベキスタン国籍の特定技能1号は100人、2号は2人にとどまり、先行事例が乏しい送出国です。行政書士法人Treeでは、在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請などの入管手続に係る書類作成と申請取次、1号特定技能外国人支援計画の作成、受入れ後の各種届出書類の作成といった、行政書士の業務範囲に属する手続をお手伝いしています。

※ 本記事は執筆時点の法令・実務に基づき細心の注意を払って執筆しておりますが、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、誤記・脱漏等があった場合でも当事務所は一切の責任を負いません。法令・実務の取扱いは改正・運用変更により変動します。個別具体的な事案・手続については、必ず行政書士・弁護士・税理士・司法書士・信託銀行等の専門家にご確認のうえご判断ください。

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